私たち革水は、日本(世界)で初めて洗う技術を数値化し、素材に極力ストレスを与えないことを公的研究機関に認めていただいたクリーニング店です。

運営責任者 藤木 幸広

革への情熱は、誰にも負けない。

皮革試験を決意した経緯

お客様のさまざまな不安を安心と信頼に変えたくて技術力の数値化を決意しました。

インターネットを通じて、全国からたくさんのご注文をいただいています。

その中には「洗うことで革が縮みませんか?」「本当に洗っているの?」「以前出した所でバッグをダメにされたのですがそちらは大丈夫ですか?」など、革を洗うことに対しての不安の声をいただくもの事実です。

自分の大切なアイテムを預けるのですから、無理もありません。私ども革水のホームページを見ていただいて、安心してご依頼していただくにはどうしたら良いか、いろいろな発信をしてきました。

その1つが、お客様の声やビフォーアフターの画像です。しかし、それらはイメージしか無く、お金と加工技術があればどんなビフォーアフターも作れます。そこで、私どもが日頃から行っている作業を数値化することにより、ネット上で嘘、偽りの無い発信ができるのではと考えました。

試験は、独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所さんのご協力のもと、革を洗う技術を日本で初めて数値化しました。

クリーニング試験方法の説明

試験は、第三者機関の地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所へクリーニング試験を依頼。

カビや汚れのついた各々の皮革製品を二分割し、一方をクリーニングし、クリーニングしていない状態の物と比較し、以下の内容でそれぞの状況を分析をしてもらいました。

皮革試験の結果

  1. 外観変化観察
  2. 寸法変化
  3. 収縮温度の変化
  4. 脂肪分の変化
  5. 風合い変化
  6. 電子顕微鏡検査

外観変化観察

汚れ・カビの程度、汚れの種類、汚れやカビの除去を目視により外観観察する。

クリーニング後は汚れの除去は完全に行わており、いずれも問題はなかった。

[まとめ] クリーニング前の衣料はいずれもかびの発生したものや汚れ、収縮・硬化したものであった。クリーニング後は汚れの除去は完全に行われており、いずれも問題はなかった。かびの除去はできていたが、カビが産生したと思われる色素については完全な除去、あるいは目立たなくすることができていないものがあった。

寸法変化

試験衣類に糸を縫い付け定点とし、クリーニング前後に採寸を記録した。

いずれの衣料についても寸法変化率は1%台だった。

[まとめ] クリーニングする衣料に糸を縫い付け定点とし、定点間の距離を衣料の縦方向、垂直方向、対角線方向にも同時に寸法し、クリーニング前後の寸法変化率(%)を求めた。その結果①人工皮革製は対角線方向で平均1.7%伸びた。②ムートン(オフホワイト)は縦方向で平均1.4%伸縮した。③ムートン(茶、切替)は対角線方向で平均1.2%伸びた。④羊銀付き革は縦方向で平均1.3%伸びた。全般に、それ以外の方向では、いずれの衣料についてもクリーニング後の寸法変化率は1.0%以内でありいずれの場合も寸法変化は比較的小さかった。

収縮温度の変化

クリーニング前後で隣接部位から革を採取し、液中熱伸縮温度測定を行った。

JISで定められた基準値「5℃以下」を満たした衣料は毛皮部、ムートン、羊銀付き革だった。

クリーニング前後で隣接部位から革を採取し、液中熱伸縮温度測定を行った結果、前後の差がJISで定められた基準値「5℃以下」を満たした衣料は①毛皮部、②ムートン、③羊銀付き革であった。一方、基準を満たさなかった衣料は、③ムートン(茶、切替)であった。

脂肪分の変化

クリーニング前後で隣接部位から革を採取し、脂肪分の測定を行った。

脂肪分は減少する傾向があった。

クリーニング前後で隣接部位から革を採取し、脂肪分の測定を行ったところ、いずれの試料も脂肪分は減少する傾向があった。

風合い変化

クリーニング前後の風合いをBLCソフトネステスターST300で測定した。

全てにおいて柔軟性が向上する傾向があった。

クリーニング前後の風合い変化を測定した結果、全てにおいて柔軟性が向上する傾向があった。特に、④羊銀付き革衣料以外は著しい向上が認められた。さらに①人工皮革、②ムートン(オフホワイト)、③ムートン(茶、切替)については、クリーニング前後の変化率16.6%〜20.7%に及ぶ向上が認められ、柔軟化が進んでいた。

電子顕微鏡検査

クリーニング前後の汚れの除去の程度を走査型電子顕微鏡によって観察。

汚れの除去を顕微鏡で確認することができた。

クリーニング前後のムートンの毛部を観察することで、汚れの除去を確認することができた。

皮革試験の結果を受けて

試験を受けるまでは、少なからず革へのストレスを懸念しておりました。しかし結果は主成分がほとんど抜けず、硬化や縮みの心配もないことが証明されました。

今回、試験を依頼するまでは、それなりに素材へストレスを与えると思っていました。

革はタンパク質が主成分の素材ということもあり、洗い方次第では主成分が抜け仕上がり後は、硬化や縮みを生じてしまうケースがあります。

その硬化や縮みを防ぐために、乾燥前の濡れている間に、人工的に油分(加脂剤)を入れていきます。

しかし、検査結果では、革水の洗いでは主成分がほとんど抜けず、硬化や縮みの心配もないことが証明されました。

革を洗うということは、少なからず革に負担をかけること。

革水では、キレイにすることはもちろん革ならではの味わいや風合いを大切にした作業を心がけておりますので、私たちにとっても満足のいく結果となりました。

今回の試験は、仕上げ工程を行わない状態での結果です。

革水の作業は、大きく分けて前処理・洗い・仕上げと3工程ありますが、今回の検証結果は、その中の前処理・洗いのみ行ったデータとなります。仕上げ(加脂)工程は行っていません。

データにありますように、仕上げ工程を行わなくても、革の柔軟性を向上させることが認められるほど、革にストレスを与えない優しい洗いを行っています。

革水のこだわり

  1. へのこだわり
  2. 手作業へのこだわり
  3. へのこだわり
  4. お客様へのこだわり

熊本のきれいな水にこだわり水洗いをしています。

革製品を洗う際、どんな洗剤を使用するかも大切ですが、どんな水で洗うかが最も大切と考えております。

革水では、熊本の水にこだわり、お預かりした革製品を洗っています。

デリケートな革製品へのストレスやダメージを抑えるための手での作業。

近年、革専用の洗剤も進化をとげ機械でのクリーニングも容易になってまいりました。

しかし、革製品も実用性からファッション性への変化をとげております。

革製品の中には軽い衝撃で破れたり、ワンシーズン使用しただけなのに他の衣類に移染してしまったという事例などトラブルが増加しております。

外的要素から影響を受けやすいデリケートな革製品が増えている事から、 手作業が革製品にストレスやダメージを最小限に抑える優しい洗い方と考えております

大事なのは、いかにコンディションを損なわずに作業できるか。

汚れやシミを落とす事が最大の目標とし努力してまいりました。

除去能力の強い洗剤を使用すれば、ほとんどの汚れやシミは取れます。しかし、強い洗剤は、主成分がタンパク質である革にストレスやダメージを与えてしまいます。

大切なのは、革製品のクリーニング(水洗い)を行う際、いかにコンデションを損なわない作業であるか、と考えております。

汚れを落とす事も、染色してきれいに見せる事も大切ですが、お預かりした革製品の風合いを損なわず汚れを除去出来るかに取り組んでおります。

お客様とのコミュニケーションを大切にし、満足いただける仕事を心がけています。

私どもは、お客様とのコミュニケーションを出来る限り大切にしております。

革の味が出ているアイテムが入荷した場合、風合いを維持する作業をご案内しておりますが、風合いより色補正にて見た目のキレイを優先される方もいらっしゃいます。その際の、メリット・デメリットなど一緒にお話しいたしております。

クリーニングの一例

革水は、年間クリーニング実績約38,000件。新規お客さまの約30%が口コミによるお客さまです。

  • Before
    After
  • Before
    After
  • Before
    After
  • Before
    After

革クリーニング品質向上のために。

皮革クリーニング・メンテナンスのお店は全国にありますが、技術は統一されていません。仮に10のお店があれば、10通りのクリーニング・メンテナンス方法があります。皮革・毛皮のクリーニングやメンテナンスでは共有するものがありません。

革水はお客様ひとりひとりの革クリーニングを行うだけではなく、全国で安心して身近に革クリーニングの相談ができるよう全国レベルでのルール作りが出来たら良いと考えております。より多くの方が、より長く、より愛着も持って革製品を使っていただくために。

革アイテムでお困りのことがありましたら、お気軽にお問合せ下さい。

革水ホームページを見る